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高森明勅
2016.8.10 04:03

不遜か馬鹿か両方か、八木秀次氏

天皇陛下の譲位のご意向に背き、ご公務の大幅削減と摂政設置という
最も忌み嫌うべき対案を唱えて
いた、麗澤大学教授の八木秀次氏。

天皇陛下のお言葉を拝してどうしたか。

いけしゃあしゃあと、こんな発言を。

「(制度の)見直しには時間がかかる上、国論を二分する恐れがある。
天皇陛下も国民内で論争が起きるのは望まれないはずだ。
…(
国事行為の)臨時代行での対応が望ましい」と。

私はかねて、摂政論が潰れたら、次は
「国事行為の臨時代行」論に逃げ込む、
と周囲に語って来た。

彼は、まさにその通りの逃走ルートを辿っている。

この人物には、陛下を敬う気持ちが爪の先程もない。

日本人としては珍しい(恐らく間違いなく日本人だろうが)。

だから、自分がつい先頃まで、摂政設置という不敬この上ない
主張をしていたことへの、
反省も謝罪も慚愧もない。

摂政が駄目なら臨時代行があるさ、と平気でまたぞろ
新しい不敬な対案に飛び移る。

だが陛下のお言葉には、既に「臨時代行」
という逃げ口も封じてある。

陛下のお言葉を普通に拝聴していれば、摂政設置が駄目なら
天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま…
天皇であり続ける」
臨時代行も全く「
変わりはありません」という結論になるのは、
余りにも自明。

八木氏は、
頭からお言葉そのものを拝聴する気すらないほど
不遜なのか。

それとも、拝聴しても全く理解出来ないほど馬鹿なのか。

あるいはその両方か(恐らく…)。

いずれにせよ臨時代行案は、とっくに陛下ご自身が
斥けておられることを知っておくべきだ。

又「国論を二分」って何の事か。

これまでの世論調査では、譲位を受け入れる国民が
朝日新聞で84%、共同通信で85、7%
、読売新聞で84%、
産経新聞で84、7%という結果。

それとも俺様が反対なら「国論二分」とか。

とんだ妄想だ。

時間がかかる」というのも、やる気の無さを誤魔化す、
使い古された逃げ口上。

真面目に取り組めば、来年内にも皇室典範の改正は十分に可能だ。

陛下の真摯かつ誠実なお言葉を拝した後も、
こんなミエミエの言い訳が通用すると思える鈍感さが、むしろ哀れだ。

それから言語感覚を疑うのが、
「天皇陛下も…望まれないはずだ」という言い方。

彼はこの言い方を多用する。

自分の思い込みを、あろうことか陛下に、
無遠慮に押し付ける言い方だ(しかも、これまで悉く“外し”て来た)。

だから、まともな読者には拒絶反応しか生まない。

でも気の毒に、当人は気付いていないようだ。

そもそも「国民内で論争が起きる」って、
どこで起きるというのか。

国民から孤立した一握りの“反逆者”が、いくらジタバタしても、
何ら気に留める必要はない。

それでも、もし同氏が望むなら、不肖私がサシで、
20時間でも30時間でも、徹底的(!)に論争の相手を務め、
身の程を分からせて差し上げても構わない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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